成人T細胞白血病・症状・検査・治療

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成人T細胞白血病の発症メカニズム・症状・検査・治療・予後

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     §1 成人T細胞白血病 (adult cell leukemia<lymphoma>;ATL)


     成人T細胞白血病は日本で発見された、特異な形態のリンパ系の白血病で、ヒトT細胞白血病ウィルスT型(HTLV

     -T)の感染が原因となって起こるT細胞腫瘍性増殖になります。成人T細胞白血病はHTLV-Tのキャリア(保菌者、

     持続感染者)に発症しますので、発症には地域性があり、九州、沖縄、四国南部、紀伊半島に患者が多発しており、

     他の地域の患者も、これらの地域出身者が多いとされている事も理解できる様に思います。

(日本以外ではカリブ海沿岸、西アフリカ

に好発)HTLVキャリア(ウィルスに感染し

、抗体が陽性でも発症していない)は、全

国に多数おりますが、その割には発症率が

低い特徴があります。発症は40歳以後の

成人で、男性1、3〜2、2:女性1、0

の割合で男性に多く発生します。キャリア

からATLを発症するのは1〜5%と考え

られています。感染経路は母乳、性交、輸

血が考えられますが、発症に結びつくのは

母乳感染と考えられております。


(抗体陽性の母親からの乳児への授乳をやめる事が推奨されています。母乳で育てられた子供の4人に1人が

感染するとされます。ATLの感染力は強くはないと考えられております。)


     
*母子感染60〜70%; 九州など、地域性の強かったATLは、人の移動の多い近年では、 全国への拡散が進

     んでおり、特に首都圏や関西圏でキャリアーが増えている。ATLは感染後潜伏期間は40年と長く、発症率も5

     %程度と低いが、発症後は、症状は急速に悪化し、予後は悪い。主たる感染ルートである母子感染は、妊婦検

     診の実施や、人工乳使用への切り替えの対策の結果、減少傾向にある。ウィルスの感染力は強くはないが、母

     乳(半年以上)育児の場合、感染率は20%とされ、妊婦検診でウィルス陽性が判明した場合には、人工栄養な

     どの切り替える対策を考慮したい。中には、授乳を半年未満とか、3ヶ月未満の間だけ授乳する方法や、凍結母

     乳を使う方法をとるケースもあるが、事例も少なく感染率は明確になっていないのが現状だ。 近年のデータでは

     母子感染は60〜70%、性交渉による感染20〜30%、輸血由来感染0%とされている。



     
* ポテリジオ;成人T細胞白血病の新薬として、2012年春に世界で初めて日本で承認されました。副作用はほ

     ぼ全員に発現する。(発熱・皮膚障害などがあります。) また、臨床経験が少なく、専門医は十分に留意して使

     用の必要があります。 ポテリジオは発売2ヶ月で約2000人に投与されております。 協和発酵キリン(東京)が

     開発したこの新薬は、細胞膜に現れて白血球を引き寄せるケモカイン受容体のCCR4に結合する抗体です。「

     ポテリジオはCCR4が結合し、そこに免疫作用を担うナチュラルキラー細胞がくっつき、ATL細胞を破壊するも

     ので、 抗体から糖の一種のフコースを除き、抗腫瘍活性を100倍以上に強めたポテリジェント技術で製造した

     もの。」 と紹介されており、ATL患者の26人に対する臨床試験では、 ポテリジオ単独投与で半数の13人に有

     効と報告されております。 (その内8人は病変が消失したと説明されております。) 『名古屋市立大学医学部血

     液内科のグループによる研究で、 約90%のATL患者の白血病細胞で CCR4が発現しているのが2003年ま

     でに発見され、それが契機になっている。』







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§2 成人T細胞白血病の発症メカニズム


     潜伏期間が長く、乳幼児期に感染しても発症までには40〜50年かかる、このウィルスはレトロウィルスの仲間

     で、感染者のリンパ球の核内の遺伝子に入り込んで新たなRNAのHTLV-T産生をする事で増殖し、ヘルパー

     Tリンパ球を腫瘍化させて白血病になります。この際には、taxとrexも多量に産生されますが、増加したtaxは直接

     的に、rexは間接的にT細胞球の増殖因子であるインターロイキン2(IL-2)のT細胞上の受容体を増加させて、更

     にT細胞のIL-2産生能を亢進します。この状態が持続しますと、IL-2非依存性のT細胞のクローンが出現し増殖

     します。このIL-2非依存性T細胞は当初はポリクローナルですが、やがてオリゴクローナルモノクローナル

     なり、最終的に腫瘍化して、成人T細胞白血病になります。エイズウィルスも(HIV)もレトロウィルスですが、HIV

     の場合は、ヘルパーTリンパ球に感染して細胞を破壊してしまうために、免疫不全を起こし、死にいたる様々な

     感染をおこします。ATLの場合には、リンパ球そのものが癌化し、白血病細胞となります。エイズとは抗原も異

     なる全く別な病気です。





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     §3 成人T細胞白血病の症状


     成人T細胞白血病は咳、痰、発熱などの呼吸器感染症状や、皮膚の真菌症がよく確認されます。皮疹、リンパ節

腫脹、高カルシウム血症に伴う食欲不振、便

秘、意識障害、黄疸、腹水、足のむくみ、な

どその症状は多様ですが、他の白血病と異な

り、出血傾向や貧血の症状などは殆どみられ

ません。成人T細胞白血病はその病型は4タ

イプあります。急性型、リンパ腫型、慢性型

、くすぶり型の4種類ですが、くすぶり型や

慢性型では急性化し悪化するものも有ります

(急性転化)。成人T細胞白血病は、その約

68%の症例に4箇所以上に、何らかの臓器

浸潤、約27%に4箇所以上のリンパ節腫大

、約26%に肝腫大、約22%に脾腫大、約

17%に肺浸潤、約39%に皮膚浸潤(紅斑

、結節、潰瘍、腫瘤形成など)を認めます。

又、初診時の約26%に何らかの感染症の合

併を認め、急性、慢性、くすぶり型では真菌

や原虫感染症(カリニ肺炎、糞線虫症など)

を合併し易いといわれています。





     §3−1 急性型/成人T細胞白血病/症状


     成人T細胞白血病の55〜65%を占めるタイプで、白血球数の増加、リンパ節腫大、肝脾腫大、腫瘍細胞の皮膚

     浸潤、高カルシウム血症、血清LDHの上昇(正常値の2倍以上)などを呈し、急速な悪化の経過をたどり死に至る。






     §3−2 リンパ腫型/成人T細胞白血病/症状


     成人T細胞白血病の20〜25%を占めるタイプで、顕著なリンパ節腫大を伴うも、リンパ球増加は無く(リンパ球

     数4000/μl 以下)、末梢血液中の異常T細胞の軽微な増加に留まる(1%以下)。リンパ節内の浸潤細胞は

     多形性小型リンパ球、多形性中等大、大型まで様々なものが混在する。




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     §3−3 慢性型/成人T細胞白血病/症状


     白血球数(リンパ球数)の増加を認めるが、慢性に進行するタイプ。リンパ球数は4000/μl 以上、異常T細胞は

     80%以上、過分葉リンパ球も時に認めます。






     §3−4 くすぶり型/成人T細胞白血病/症状


     白血球数(リンパ球数)の増加は伴わないが、末梢血液中の軽度の異常T細胞の増加(5%以上)があり、過分葉

     リンパ球も時に認めるもの。リンパ節腫大、肝腫大、腫瘍細胞の骨髄浸潤、腫瘍細胞の皮膚浸潤を軽度に認めます。






     §4 成人T細胞白血病の検査


       -成人T細胞白血病細胞(ATL細胞)-
核が過分葉を示す異常細胞はATL細胞(

flower cell)と呼ばれ、花キャベツ状の核

を持つ特徴のある、顕微鏡像を見せます。

これらの細胞はTリンパ球としての性格を

持ち、リンパ節、皮膚、肝臓、脾臓、脳・

脊髄膜などあらゆる臓器を侵す可能性があ

ります。患者の血清中にはHTLV-Tに対

する抗体が出来ており、抗体をチェックす

る比較的簡単な検査で、確認ができます。

典型的なATL細胞の表面マーカーCD4陽性成熟T細胞の性質をもっています。生化学検査のうち、血清

LDHの上昇は急性型の87%、リンパ型の70%に認められ、ATL細胞の増殖力や、ATLの腫瘍の総量を

よく反映します。ATL細胞がPTHrP(副甲状腺ホルモン関連蛋白)を分泌する事によって、起こると考えられ

る高カルシウム血症(急性型の約50%で確認される)は高度腎機能障害や意識障害により死に至る場合も

あります。





     関連検査値・基準値/成人T細胞白血病

     尿潜血白血球数赤血球数






     §5 成人T細胞白血病の治療と予後


     成人T細胞白血病に対しては多剤併用療法などの、試みがなされてきたが、予後の改善は殆どなされておりま

     せん。生存期間も急性型では6、2ヶ月、リンパ腫型で10、2ヶ月、慢性型で24、3ヶ月という厳しい結果

     がある。直接の死因は腫瘍死(高カルシウム血症を含む)、日和見感染症(カリニ肺炎など)などです。但し、

     比較的若い患者さんでは、大量の放射線照射と抗癌剤投与の後、造血幹細胞移植(骨髄移植)で長期生存の結果が

     得られるケースがあります。





     §5−1 急性型/成人T細胞白血病/治療&予後


     症状は急激に進行し、血液球での白血病細胞の増加、血清LDHやカルシウム値の上昇が確認され、治療効果は

     高くなく、予後も極めて不良です。






     §5−2 リンパ腫型/成人T細胞白血病/治療&予後


     血液中に殆ど異常細胞が確認されませんが、全身の多数のリンパ節が腫れ、HTLV-T陽性の悪性リンパ腫と

     いわれることが多い。化学療法、放射線療法が効くが、効果の持続はあまり期待出来ません。



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     §5−3 慢性型/成人T細胞白血病/治療&予後


血液中には多くの異常細胞が確認されます。しかし、皮疹、リ

ンパ節腫脹などは緩やかに進行します。治療の有無に関わらず

、長期にわたり、落ち着いた状態が続きます。但し、慢性型が

急性型に転化する事がありますが、きっかけや原因は不明です。


     §5−4 くすぶり型/成人T細胞白血病/治療&予後


     前白血病状態で、極少数の異常細胞が末梢血液中に確認されますが、他に症状が無く健診や咳、痰、皮疹などで

     受診して、血液検査で見つかる事の多いタイプです。ウィルスが遺伝子に入り込んでいるタイプです。









     * tax&rex/taxはウィルスゲノムの転写を活性化しrexはウィルスのプロセシングと細胞質への輸送を制御します。




     * ポリクローナル/ポリクローナルな増殖は、複数の種類の細胞が、多く存在するの意


     * オリゴクローナル/オリゴクローナルな増殖は、その種類の数が減り、かなり似通った種類の細胞が多く存在する

     の意


     * モノクローナル/モノクローナルな増殖は、単一の種類の細胞が多く存在するの意




     * 糞線虫症/糞線中は小腸上部に寄生するが、無症状が多く、多数の寄生で下痢、腹痛、体重減少、などの症状が

     出現します。免疫不全状態では重症化し、播種性糞線虫症を発症します。





     * ATL細胞の表面マーカー/CD2,CD3はT細胞を決定づけるマーカーで、幼弱なT細胞はCD4とCD8

     の両方が陽性であるが、分化するに連れて、そのどちらかが消失します。CD4が陽性であればヘルパー細胞の

     機能、CD8が陽性であればサプレッサー細胞の機能を示すようになります。CD25が陽性であれば、そのT

     細胞が活性化していることを示し、HLA-DRは免疫学的に活性化していることを示します。





     * PTHrP/副甲状腺ホルモン(parathyroid hormone ;PTH)関連蛋白で、骨からのカルシウムの吸収を促進し、

     腎尿細管でのカルシウムの再吸収を促進するために、高カルシウム血症を引き起こす事になる。







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